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アーク Ⅲ(完)

空気が変わった。
大気が揺れ、大地が震える。
眩いばかりの閃光の後、その館は現れた。

館の扉を開けるとそこは書斎だった。
真っ黒な服に身を包んだ女がそこには座っていた。
陽炎。この館の主にして創造者。

「ようこそお嬢さん。用件を聞きましょうか」
表情一つ変えずに陽炎は語りかける。
「兄と、姉を、返してください」
アークはそういうと静かに頭を下げた。

「取り戻してどうするの?」
「旅を続けるだけです。三人で」

お互いに殺気はない。戦うべくもない。
二人の立つステージが違いすぎるのだ。
星や鎌に魅入られた女戦士でさえ、仮面を被った最強の漢でさえ。
目の前の黒服の女には勝てない。勝負にすらならない。

陽炎は質問を続ける。
「貴女、蘇生する以前の記憶が戻ってきているわね」
「…はい」
「それはあの二人が知る貴女だと言い切れるのかしら」
「人は…変わります」
「貴女は人ではないわ。ある陳腐な組織によって創られた魂の入れ物」
「…それでも私は取り戻したい」
陽炎はふうっ、と溜息をつくような仕草を見せる。
そして言った。
「条件があるわ」
「………」
「この館のことを忘れること。記憶の中から消去なさい」
静かに頷く。
「もう一つ、これから私のする質問に嘘偽りなく答えなさい」
もう一度頷く。

「あの二人は貴女にとって何なのかしら。或る時は刺客を倒し、或る時は私のお願いを引き受けてくれたわね」
そこまでして―――
「なぜ貴女は二人を求めるのかしら」
アークは淀みなく答えた。

「家族だから。解放してあげたい。この館から。二人が持つ罪から」
「人は、変わるわ。入れ物の貴方と違ってね。それでも貴女は求めるの?」
アークは頷いた。これまでで一番強く。

閃光。
目を覚ますとそこは草原だった。
あの出会いの草原。
アークの目の前には望んでいたものが在った。

三人は並んで歩きだした。
平凡で、困難で、そして幸せな旅を続けるだろう。
命尽きるまで。

陽炎はそんな三人を見送りながら呟く。

「戦いも無く、死も無い、まるで今までの自分を否定している様。そんな物語で何を伝えたかったのかしらね。あの娘の言葉を借りるなら―――」

全く 期待外れもいいところだわ これも作者の趣味かしら―――

アーク 完
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