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大鎌とモーニングスター 完結編 ~決戦~

「ウフフ、遊んであげるわ」
マリィは朝星の周りをゆっくりと円を描くように歩きはじめた。
「………」
朝星はマリィの目をしっかり見据え隙を窺っている。
「ふふ、慎重なのね。少しイメージとは違うかな」
(データ通りね。彼女が得意とするのは一対多の集団戦闘であり一対一だと極端に慎重になる)
「ごちゃごちゃ…五月蠅いッ!」
ゴシャッ!!
巨大な鉄球がマリィの顔面を捉える。
「!?」
しかし手応えはなくマリィの姿は霧のように消えた。
「この部屋に入った瞬間から貴女は私の幻術の虜。惨めに死んでいくがいいわ」
「…!!身体が動かない」
「幻術・影縫い…どうやら貴女と私は本当に相性が良い…ウフフ」
朝星が視線を影に移すとそこには一本の小刀が刺さっていた。
「く…」
「扇技・斬扇閃。切り刻んであげる」
小さな扇が宙を舞い朝星に斬撃を浴びせていく。
「う…くぁ…」
「やはり貴女はあの小さなパートナーがいないと実力半減ね。期待外れだったわ」
『期待外れ』その言葉に朝星の何かが切れた。
「…な」
「?」
「…なめるな!このデカ乳女ーーーーー!」
「!?」
朝星の絶叫が部屋内に響く。その衝撃波で部屋を照らす電灯が一つ弾けた。
「くっ…」
「身体が、動く!」
電灯が弾けた際の光で影が一瞬消えた為である。
「っでやあああぁぁっ」
朝星の鉄球はマリィの頬をかすめ部屋の壁を破壊する。
「な!何を?」
「幻術の鍵はこの部屋にあり!それなら全部ぶっ壊してやるのだーーー!」
「や、やめ…」
朝星の目の前にいるマリィの姿がノイズ交じりになる。
「うりゃあああぁぁ!」
鬼神の如き表情で部屋を破壊しつくす朝星。
「わかった!私の負けでいいから…ぶげっ!」
破壊活動中に何か柔らかいものに当たった感覚があったがブチ切れている朝星には些細なことであった。
「ふう…惨めなのはどっちなのだ」
破壊の限りを尽くされた部屋に横たわっているのは胸も小さく華奢なスタイルをした一人の女戦闘員だった。

「おーほっほっほ!小さな侵入者さん。私の強大な力の前にひれ伏すがよいわっ」
巨大兵器を駆り死神を追い回すDr.ホーリー。
その拳はうなりをあげ強固な壁や床を破壊してゆく。
しかし死神は冷静な目で巨大兵器の動きを観察していた。
(確かに破壊力・装甲ともに並じゃない…それでも)
「さっきからちょこまかと周りを飛び回って…!捉えたッ」
動きの止まった死神を見てDr.ホーリーは拳を振り上げる
死神は振りかざされた巨大兵器の拳を踏み台にして飛び上がりメインカメラを切り裂いた」
「なっ!」
「いくら周りが固くともある一点は弱いもの…相手を間違えたわね」
「何を生意気な!たかがメインカメラがやられただけ!サブカメラに切り替えて…っ…こうなれば二門のメガキャノンで消し炭に…あれ?」
「それにね。戦いってものは…最後に勝敗を決めるのは自分の身体なの。その点においては貴女より前線で戦っている戦闘員の方が何倍も立派よ」
「動かない?ハッチも開かない!?何で!?」
「…貴女の玩具の駆動部に異物を仕込んでおいたわ。まともに動かないはずよ」
「そんな、こんなはずは…」
「貴女の敗因は痛みを知らなかったこと。その小さなコクピットで反省してなさい」
「な…」
「貴女には…殺す価値もない」
部屋を去る死神。そこには打ちのめされた狂科学者の惨めな嗚咽だけが静かに響いた。

敵基地司令室ではアークと敵首領の戦闘が継続していた。
素早い動きで首領を撹乱するアーク。しびれを切らした敵首領は魔槍を手にする。
「どうやらこの槍を使うときが…」
「来たわね」
「!?」
「貴女、死ぬわよ」
「な…」
首領が背にしていた扉が切り裂かれ二人の傭兵が姿を現した。
「死ぬのだー」
背後からのモーニングスターの一撃を辛くもかわす首領。
しかしその後ろには死神の鎌。
「お覚悟」
そして彼女の意識は途切れた。

「結局、殺しちゃったのだ」
「勢いって怖いわね」
死神は首領の屍を見下ろしながら考えた。
(…死の間際に見た表情には疲労の色が見えた…私達が来る前に誰かと戦っていた…?)
「さあ、死神ちゃん帰って祝勝会なのだ~」
朝星の笑顔に死神も微かに笑みがこぼれる。
今まで生きるか死ぬかの戦闘をしてきたというのに…
「そうね…彼女達の演奏付きもいいかもね」
「おお、それはナイスアイデアなのだー」

「………」
「二人に会っていかぬのか?」
敵基地の屋上にあたる場所に佇むアークに一人の剣士が語りかける。
「白木の鞘…噂には聞いているわ。凄腕らしいわね」
「噂の一人歩きさ」
「別に会ってどうするということでもないしね。一つ目の約束はこれで終わり」
「あの館を見つけてどうするつもりだ」
「…『家族』を取り戻すだけよ」
「そうか…ギルドは有能な冒険者を募っている。機会があれば門を叩くがよい」
「…気が向いたらね」
一陣の風と共に気配が消える。
彼女のいた場所を見つめ剣士は一礼をした。

「…敵さんの兵器やら戦闘員の教育施設やらまだまだ課題は山積みだがここからは国軍様のお仕事だ。とりあえずはご苦労さん…それでは…」
『乾杯ー!!』
総指揮官ジークハルトの音頭で祝勝会の幕が開く。
女戦士達の宴の夜は騒がしく更けてゆくのであった。

大鎌とモーニングスター完結編 完



「一番!漢仮面!!勝利の舞を舞うぞ!!!」
「なんであの変態がここにいるのだ~」

大鎌とモーニングスター 完結編 ~中盤戦~

敵基地より数キロ離れた地点、作戦遂行用トレーラー内
「美麗、正門前の様子はどうだ?」
「はい。敵基地より多数の熱源反応、陽動は成功ですね」
「正直に正面から応戦する必要もないが…厳しくなりそうなら…」
「?…お二人とも調子はどうですか?」
美麗が通信を通じて二人に問いかける。
「今のところは問題ない」
セルマーが即座に答えを返す。
「ライヴの客は多い方がいいってね!」
アイヴィーはやや興奮気味だ。
「しばらくは心配はいらないだろう。問題は通信、レーダーが遮断される基地内だが…」
「心配ないですよ」
美麗は笑顔で振り返る。
「あの二人は無敵ですから」

敵基地内 非常口より侵入した通路
「敵がいないのだ~」
「陽動は成功みたい…それにしては敵が少なすぎる…」
通路を駆け抜ける二人の前に一段広けた部屋が見えてきた。
「!!」

部屋の中心には鞭を持った妖艶な女が立っていた。
「うふふ、お待ちしていましたわ」
「只者じゃない…おそらく幹部クラス」
「乳でかっ!」
二人の反応は様々だが女は話を続ける。
「ヘルバットレディが二柱が一人、マリィよ。さあどちらがお相手してくださるのかしら」
(死神ちゃん先に行くのだ)
(…了解)
死神がマリィの横を駆け抜ける。マリィは動く素振りも見せない。
「貴女が私のお相手?ふふ、宜しくお願いしますわ」
「それはこっちのセリフなのだ!」

死神が基地内を更に進むと先ほどよりさらに広けた部屋にたどり着く。
(ここは…格納庫?)
無機質な部屋には大砲や戦車などの兵器が保管されている。
「待ってたわよ~」
兵器格納庫内にスピーカーを通したような声が響き渡る。
「!!」
全長5mはあろうかという巨大な二足歩行兵器が姿を現した。
肩には二門のレーザー砲を装備し一目のカメラアイが妖しく光る。
「ははははは!ヘルバッドレディ二柱が一人Dr.ホーリーよ。私の最高傑作で蹴散らしてあげるわ」
大きな丸眼鏡の狂科学者は死神に向けマシンガンを構えた。
「大きければいいってものじゃない…」
死神は静かに大鎌を構えた。

死神が戦闘を開始した格納庫よりさらに奥、敵司令室。
「始まったか…まあの二人が負けるはずもなかろう。ギルドの主力が居なくなれば国軍など烏合の衆よ」
長い黒髪を弄りながら女首領は横目に自らの獲物を見つめる。
「過去2度の戦いでは使われる事はなかった魔槍…いよいよその力を発揮する時が」
「果たして来るかしらね?」
敵首領の背後に黒装束に身を包んだ少女が姿を現す。
「…アークといったか。旧組織の遺産がなぜ今頃姿をみせる?」
「私の家族は私に戦いを望んでいなかった…でもこれはけじめ。ヘルバッドレディ…屠らせてもらうわ」

「陽炎様…最後の戦いが始まったようでございます」
「ええ、わかっているわ。私は見届けるだけ。ヘルバッドレディもギルドも歯車の一つにすぎない」
森に佇む洋館の一室の大鏡に映し出される戦いの様子。
黒冥館の主である陽炎は何を想いこの戦いをみつめているのか。

「くっ!さすがに数が多すぎる」
「今日のライブハウス、さすがに定員オーバーだぜ」
敵基地正門前、軽口を叩くものの陽動とはいえ長時間の戦闘を繰り広げた二人の顔にはさすがに疲労の色が見える。
「ははっ死ねえ!」
ナイフを構えた背の低い女戦闘員がセルマーに向け刃を振りかざす。
「セルマー!」
ナイフを振りかざし勝利の笑みを浮かべる戦闘員の背後に黒い影が忍び寄る。
「ミステリー・サンネンゴロシ!!」
「ひぃゃん!」
女戦闘員の笑みが歪む。彼女のお尻には仮面の漢の太い指が深々と突き刺さっていた。
「わ、わたしのはじめてぇ…こんな変態に…」
女戦闘員は白目を剥き倒れた。
「あ、貴方は?」
「私の名は漢仮面!悪を憎む正義の使者だ!!」
激しい戦闘を繰り広げていたアイヴィーも敵の戦闘員も呆気にとられて動きを止める。

「ジーク隊長、何ですかあの変態さん」
「美麗、ジト目でこちらを見るのはやめてくれ…これでもギルド一の実力者。言わばジョーカーだな…できれば切りたくなかったが…」
ジークハルトは物憂げに戦場を見つめる。
「心中、お察しします」

戦いは終盤戦へと向かっていく…

大鎌とモーニングスター 完結編 ~初戦~


『非公式ながら冒険者ギルドへ要請する 先のクーデター事変の首謀組織を確認 生死は問わず組織の無力化を行ってほしい』

ジークハルトが政府からの通達文書を読み上げると朝星が問いかけた。
「ふ~ん、それでどうして私達が集められたのだ~?」
「うむ、軍というのは一部隊動かすのにも相当の労力と時間がかかる。そこで動きやすい我々の出番ということだ」
「事前情報によると敵方の基地もほぼ見当が付いているということですが」
セルマーが配布された文書を横目に質問する。
「ああ、大体の見当は付いている。罠の確率も高いが首謀者がそこにいる可能性も否定できん」
「それで私たちの役割は…?」
死神は集められたメンバーを一通り見回しながら問いかけた。

「アイヴィー君とセルマー君には基地前で陽動をしてもらう。君達の武器と戦闘スタイルは相手の目を引くには充分だろう」
「ちえっ、つまんねえの」
アイヴィーが机に肘をついたまま残念そうな顔をする。
「そして私達が…」
「ああ、基地内に潜入し首謀者の捕縛…場合によっては処理をお願いしたい」
「…それにしてはずいぶん慎重なのだ~お国の依頼だからか?」
「いやそうではない。どうやら奴らはあのバッドレディの後継と名乗っている…真偽は別として用心に越したことはない」
「国軍を唆すぐらいだ。相当の切れ者がいると考えた方がいいな」
「作戦総指揮は私、ジークハルトが執る。インカムを通じてのオペレーターには君達4人をよく知る美麗君にお願いした」
「ヨロシクお願いします~」

「作戦決行は明後日早朝。本日と明日は準備と移動に使う」
「了解、取り越し苦労だといいんだけど」

三日後、敵基地前。

「見張りが二人。装備は…確認できません。丸腰というわけではないと思いますが」
「歩哨といっても隙がない。相当訓練されてやがるな」
アイヴィーが見張りの動きを分析している。
「作戦決行まであと五分…初手が重要だね」
「ああ、なるべく多くの敵兵を引き付けなきゃな」
最初は陽動任務にやる気がなさそうなアイヴィーであったが敵の実力を目の前にしてエンジンがかかってきたようだ。

「朝星、そろそろ時間」
「ん、了解なのだ。」
「アイヴィー達が敵基地前で戦闘を開始しすると同時に突入…短時間でケリをつける」
朝星と死神は愛用の獲物に手をかける。

各自が腕に装着した時計の針が重なる。
同時にセルマーがとびだし音波攻撃を仕掛ける。

「きゃはっ…!?」
「くっ、敵襲…うぁ…」
二人の見張りが音波攻撃を受け吹き飛ぶ。しかし致命傷には至っていないようだ。
(咄嗟に急所を外したか。だが)
「まだだぜぇ!」
セルマーの背後からアイヴィーが姿を現し二段目の攻撃を仕掛ける。
「やはぁん!」
「サヤ!」
サヤと呼ばれた見張りの一人が斬撃をまともに受け動かなくなる。
「ちいっ!せめて一人だけでも!」
ツインテールの女戦闘員は手早く自身の獲物である円月輪を取り出すと投擲する。
「やはり只の歩哨ではなかったか」
セルマーは円月輪を紙一重でかわす。
しかしその刃は軌道を変えセルマーの背中に一直線に向かっていく。
(殺った!)
「甘いぜ!」
アイヴィーのギターから放たれた斬撃が円月輪の軌道を再び変える。
「な!?」
軌道を変えた獲物に一瞬目を取られた隙にセルマーが懐に入る。
「容赦は…しない」
サックスから放たれた衝撃の塊が女戦闘員を包む。
「くはあぁん!」

吹き飛んだ女戦闘員はその柔肌を晒し地面に這いつくばる。そして動かなくなった。

「こりゃあの二人にはさっさと任務遂行してもらわなきゃな」
「同感」

敵基地から出てくる女戦闘員の集団を見据えながら二人は楽器を構えた。

「ま、閉幕まで手抜きはしませんがね」
「長丁場のライブになりそうだぜぇ!」

番外編

とある姉妹が住んでいる山奥の一軒家を訪れた朝星と死神。
「いやぁ~武麗っち元気そうで何よりなのだ」
「ふふ、お前達もな。今日はありがとう。妹も帰ってきたら喜ぶよ」
テーブルを向かい合わせにして頬笑み会う二人。
「美麗は今何を?」
死神がココアをすすりつつ聞く。
「ああ、あいつは領主のお屋敷でメイドの仕事をしているよ」
「へぇ…」
「同僚によると武闘派ドジっ子萌えメイドとして領民に人気があるらしい…来月にはCDデビューするらしい」
「……凄いじゃない」
「あははははっ!楽しみにしてるのだ」
「まあ、こっちの方はいいさ。今度はお前達の旅のことを聞かせてくれないか」
「いいのか?朝星ちゃん武勇伝はDVD全100巻分!語り尽くすと半年は…ムグッ」
死神は朝星の口を片手で塞ぐと珍しく語りだした。
「あれば半年前の任務だったかしら………」


とある渓谷に不釣り合いな巨大な施設。
ここは宗教団体『神の光』の本部。

とは仮の名、その実は信者から多額のお布施を搾取し、その不正を暴こうとする者や密告者がいれば拷問・惨殺される非道な犯罪集団であった。

「ああ、わ、私の胸がぁ…」
朝星の鉄球が警備部隊の女兵士の豊満な胸を潰す。
朝星の周りにはボロボロにされた女兵士達の肢体が散らばっている。
「ふう~あぶなかったの…痛っ!」
死神が鎌の柄で朝星の頭を叩く。
「朝星、隠密行動の意味もわからないの…」
「だ、だって仕方ないのだ不意打ちうけたんだもの……それとも死神ちゃん…私が殺られてもよかったというのか~?」
朝星は珍しく目に涙をためている。
普段見せない表情に死神は少し焦る。
「そ、そんなつもりじゃ…」
「ぐすん…!そこっ!」
朝星は眼光を一変させ生き残りの女兵士にトドメをさす。
「ぐぇっ、み、みず…」
「危なかったのだ死神ちゃん!あいつ、死んだ振りで死神ちゃんねらってたのだ!」
(やはり…嘘…私ももまだまだね……)
「発見される前に教主を仕留めるわ。あなたはここで見張り」
「はぁ~い」

大講堂では女教主の説法(演説)が続いている。
「おお!救われぬ迷い子達よ。神の光に従いなさい!さすれば救われよう!(私達がね!)」
『おおーっ教主様!』
信者からの大きな声援が飛ぶ。
「信じるのだ!さすれば幸福が得られよう(お前達が今感じている幸福感は食事に混ぜられてる薬の効果だけどね!)」
『ああーっ神の光よー』
信者達の目には力がなく正に教団の操り人形である。「さあ、祈りなさい!永遠の楽園を目指して!(本当この世の楽園ね。やめられないわ!あははっ!)」

「残念。貴女が行くのは地獄よ」
「え?」
背後から現れた死神の大鎌が女教主の背中を切り裂く。
「痛ぁぃ!痛い、痛い!嫌、嫌!死にたくない…」
死神は冷たい目で彼女を見下ろす。
「私はまだ…まだ得たいのよぉ…愚民を導いてぇ…金を!富を!名声ぉぉおーっ」
マイクを通して女教主の醜い断末魔が大講堂に響き、教団の終わりを告げる鐘の音が鳴った。

「…相変わらずだな」
「あれは本当に不意打ちだったのだ…」
死神が朝星を横目で睨む。
ガチャ
ドアが勢いよく開く。
「ただいま~あれ、お姉ちゃんお客さ……あーーーっ朝星さん、死神さぁん!お久しぶりですぅ~」
ドアを開けたのはメイド服を身に纏った美麗であった。
思いがけぬ再開に喜びいっぱいの表情で二人に駆け寄る。
「お久し振り」
「美麗~似合ってるのだ~」
「コラ、喜ぶのはいいが靴ぐらいは脱ぎなさい」
「あ。ごめんなさい~」

こうしていると四人とも普通の女の子である。
女戦士達のささやかな休息の夜は静かにふけてゆく………

死神と朝星

美麗達と別れ、半日がたった。
「まったく、朝星め…」
一人でキャンプの準備をする死神。
相方の朝星は食料調達と理由をつけて山中に駆けていった。
「つまらないモノだったらお仕置きね…!」
ガサッ
殺気を含んだ人の気配。
「…出てきなさい」
姿を現した娘は大鎌を背負い、黒いローブに身を包んでいる。
死神と同じような風貌。
唯一違う点があるとすれば身の丈くらいである。
「見つかっちゃった~さすが先・輩」
「あなたは誰?」
「うふふん、ネオバットレディの刺客が一人、アークちゃんよん」
「悪趣味な格好ね」
「あらん、本家様に言われたくないわねぇ」
言葉と同時にアークが死神の懐に入る。
(!………速い)
身体を密着させ抱き合うような態勢になる。
「く………」
「ウフフ、驚いた?バットレディ最速の座は私のものよん」
そう言いながらアークはが自らのローブを脱ぎ捨てる。
豊満な身体を包むのは黒のボンテージのみ、しかも股間にはバイブが装着されている。
「!?な、何を」
死神が珍しく動揺している様を見てアークはクスクスと笑う。
「もちろん、イイ事よぉ~ん」アークの腕がローブの下からスルスルと入り込む。

「うぁ…」
死神は必死に手を伸ばし大鎌を取ろうとする。
が、身体が密着し上手く身動きがとれない。
「フフ~ココはどうかしら?」
ローブに侵入させている右手を器用に動かしショーツを脱がせる。
「いやぁ…」
死神は恥ずかしさのあまり赤面している。
「ふふっ、先輩可愛い~」
さらにアークは左手で死神の胸を擦る。
「あ…」
「感じちゃってるんですかぁ~」
追い打ちとばかりに薄いローブからみえるプックリと立った乳首を摘む。
「ひぅん!」
ビクッと身体を震わせる死神。
「さ・ら・に~」
アークの右手がそっと死神の秘部に触れる。
「ぁ………ふ」
「先輩~もっともっと感じちゃってくださいねぇ」
右手の動きがさらに激しくなる。
死神の秘部からはくちゅくちゅと水音も聞こえている。
「ぇ…ぁぅ…はぁんっ」
「もうイイ感じですねぇ」
死神の両腕は既にだらりと脱力している。
アークはローブを捲り上げて死神の秘部を曝け出させる。
「ゃ…何を」
「うふふ、いただきまぁ~す」
軽々と死神を持ち上げバイブを秘部にあてがう。
「や、やめて…」
「いやよん」
アークが腰に力を入れる。
月光に光る擬似性器がまさに死神を貫かんとした刹那。


「何者だっ!?」
朝星の声が響く。
「…………ぁ」
「あらぁ、残念。楽しみは取っておきましょうかね~」
アークはローブを素早く羽織るとその場から立ち去った。
「死神ちゃん、大丈夫か!?」
朝星がへたり込んでいる死神に声をかける。
かばっ!
「およっ?」
死神が朝星の胸に顔をうずめる。
「……怖かった……」
顔を上げ、そう呟いた死神の眼には涙が溜まっている。
朝星はその姿を可愛いな~と思ってしまうのであった。

アークの襲撃から一日が過ぎ、山越えも終わりが見えてきた。
「ここを越えれば本部は目の前か~」
「……………来た」
麓まであと一息という山道。
その地平にみえる夕日を背に一人の娘が立っていた。
死神は立ち止まり大鎌を構える。
「ふふ、先輩ったら怖い顔しちゃってぇ~」
「もう…負けない」
夕日を背に立ちはだかる娘、アークも鎌を構え戦闘態勢に入る。
「もう少し遊んでいたかったけどそうもいかないのよねぇ~」
「お喋りね…これから死ぬというのに」
普段は挑発など気にもかけない死神の口から言葉が紡がれる。
並々ならぬ気迫が死神からは滲み出ていた。
朝星は一歩後ろに下がり、戦況をみつめる。
二人の間には何人も入り込む余地はなかった。
瞬く間に雷雲が空を包み込む。
三人は降りだした豪雨にさらされるも微動だにしない。
一際大きい雷雲が低い音を鳴らし、決着の合図を告げた。
視界を支配する激しい雷光、二人の身体が交差する。
「う…」
死神が膝をつき肩口からは血が吹き出す。
静かに向き直るアーク。
唇を震わせながら何か言葉を紡ぐ。
(馬鹿な…この私が…)
次の瞬間、四肢、胴、首筋から鮮血を吹き出しながらその豊満で魅惑的な身体は七つに分断された。
まるで破壊された積み木のように崩れ落ちてゆく…ネオバットレディ最速の女戦士の最後であった。

「…………っ」
ローブをちぎり包帯代わりにして止血する。
「大丈夫か?ちょっとヒヤヒヤしたのだ」
「心配ない…行こう」
朝星の手を借り立ち上がる死神。
「まったく負けず嫌いでせっかちなのも限度があるのだ」
死神を朝星が諌めるという不思議な光景。
どちらからともなく笑みを浮かべる。
残すはネオバットレディ本部のみ。
二人の戦いの旅も終わりを迎えようとしていた。

夜明け前のネオバットレディ本部。
門番もの姿も見えず二人を迎え入れる準備は出来ているという様子である。
「死神ちゃんは後から入るのだ。まずは…私が行く」
「………わかった」
頷く死神。その時彼女は朝星が何を考えているか感じ取っていた。
「行くぞっ!」
モーニングスターをいつもより強く握りしめ彼女は戦場を駆けて行く。
「てっ、敵しゅ…がっ」
「いやぁ…あっ!」
屠る屠る朝星。
武器を持つ者、持たぬ者関係なく猛進する。
「きゃああー…あぶっ」
「わっ私は…ひぎっ」
猛る猛る朝星。
戦意のある者、無き者関係なく屠り進む。
「いぎゃっ」
「馬鹿な、誰か奴を止められる者はぎぃっ!」
「司令室応答願います!しれい゛っが!」
「大丈夫?今助け、えばぁっ!」
「きゃあぁ…ユキちゃ…」
「カ、カオリ…はぅ!」
戦闘員も、幹部も、オペレーターも、救護部隊も、まだ未熟な訓練生までも。
モーニングスターはその鉄球を血に染めて突き進む。
正に鬼神の如く殺戮の限りを尽くし、ネオバットレディに関わるものは善も悪もなく屠り続けた。
生も死も一瞬の瞬き、慈悲も情けもなくあるのはただ破壊のみ。
何が彼女を駆り立てるのか?
それは彼女自身しかわかりえない。
「ひぎゃあっ」
司令室の門番を蹴り飛ばし勢いのまま扉を破る。
ネオバットレディ総帥は朝星に背を向け玉座の武器を手に取る。
「よくぞやってくれたな愚かな反逆者よ!この母上様より受け継いだ槍で貴様を一突きに…」
振り向いた総帥の視界には鉄球が目の前にあった。
「はぎゃっ!」
顔面を粉砕されたネオバットレディ総帥は身体を痙攣させながらゆっくりと後ろに倒れる。
既に意識の無い総帥の身体は玉座に座るような態勢になる。
悪事の限りを尽くした女の哀れな最後であった。

「はっ、はあっ………」
「朝星」
「終わっ…た?」
死神は静かに頷き、朝星は脱力しその場に座り込んだ。
「これでひとまず終わり…今は…暫しの休息を…」
朝星を包み込むように優しく抱く死神。
夜が明け木漏れ日か二人を照らしている。
「あ…」
ネオバットレディ唯一の生き残りの訓練生。
彼女が扉の影から見たその光景は―――

無数の屍が散らばる戦場でとても儚く、そして美しいものに見えた。

大鎌とモーニングスター 完
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