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ばとおん! 3(完)

リヴァイアサン艦隊司令官のミイネは追い詰められていた。
クーデターを起こしたものの要であるギルドの占拠に失敗し、後がなくなっていた。

「もうじきここにもギルドの使いが来る。ここまでか…」
残党部隊は国軍の海洋母艦を乗っ取り、篭城をしていたが疲弊は大きい。
戦っても無駄死にである。が、ミイネは徹底抗戦を部下に指示していた。
(今はまだ、あの『組織』のことを知られるわけにいかない…)
「!?」
ミイネは背後に気配を感じ振り返る。そこには一人の少女がいた。
「…誰だ、お前はどうやってここまで来た」
少女はクスリと笑いを浮かべたかと思うと冷たい声で話をはじめた。
「…私はアーク。兄妹の遺志を継ぎ『組織』の壊滅を願う者」
「貴様!しっているの」
小さなナイフが一筋の閃光を走らせる。
「か」
ミイネは美しい額を裂かれ絶命した。

「降伏ぅ!?」
強行突入決行の五分前に残党軍から入電があり、降伏の旨が伝えられた。
がっかりした様な仕草をみせるアイヴァと朝星。
セルマー、死神、美麗は既に撤収の準備を始めていた。

その様子を白旗を上げる海洋母艦の帆先に立ち見つめる一人の少女。
(捕虜は多い方がいい…その分情報が集まるから。今はまだ、戦力と情報が足りない)

黒冥館で散った兄妹の遺志を継ぎ戦い続ける少女。
楽器を手に純粋に戦いを楽しむ傭兵。
戦闘員であった過去を持ちながら強大な二つの組織を壊滅させたダークヒロイン。

今、全てが交わり大きなうねりになろうとしていた。
戦い続ける女達の最大にして最後の戦いがはじまろうとしている。

ばとおん! 2

「…ギルドの構成員として正義に基づいた行動を~…」
「うぁ~話し長いよ~まだ終わんないのか~」
「黙って聞いてな」
「ウフフ」
ここは大陸中央に位置するギルド本部、通称中央ギルドと呼ばれている場所。
現在ここでは年に一度の冒険者達への講習が行われている。
この日にライセンスの更新も行われるため、大陸中の冒険者が集まることになっている。
アイヴァ、セルマー、美麗の三人は並んで講習を受けていたがアイヴァは既に集中力が切れてしまっているようだ。

「…さてここらで一時休憩だ。五分後に再開するので遅れないように」
「うえ~まだあるのかよ」
「あ、私お手洗い行ってきます」

美麗が用を済ませ手を洗っていると黒髪の少女が近づいてきた。
「あれ?死神さん?」
「お久しぶり、ギルド活動始めたの?」
「はい!朝星さんは?」
「講堂でぐったりしてる」
「あはは…相変わらずですね」
「ん、元気そうで何より。お姉さんにヨロシク」
「はい!」
「今度どこかで食事でもしましょう」

「揃ったな。では講習を再開ー」
バタン!
「おとなしくしろ!ここは既に我々の支配下に置かれた!」
「!?」
講堂の出入り口から軍服を着た女性兵士が講堂内になだれ込んできた。
「これは…国軍?」
「そうだ!我々は国軍遊撃部隊セイレーン!今この時よりギルドの全権限の掌握を宣言する!」

(国軍がギルドと敵対?これはまさか…)
「クーデターか」
講師の男はセイレーンの指揮官に聴こえるように呟いた。
「これはクーデターなどではない!」
講師の男は講壇の下に右手を隠し携帯機器を操作した。
『国軍内部にて反乱が発生 セイレーン遊撃部隊とリヴァイアサン独立艦隊が中央政府に宣戦』
今まで、講習の内容を映していたスクリーンが16分割された画面に切り替わる。
「やはり…」
国営を含む全放送局ではクーデターの話題で持ちきりだった。
(不安定とはいえ軍を凌ぐ強大な戦闘力を持つギルドに不満を持つものも多い。しかしクーデターとは…)

「貴様らが武器を所持していない事は既にわかっている!おとなしく降伏…!?」

ズドン!

指揮官のすぐ横を大きな鉄の塊がかすめる。
「お馬鹿。このギルドに自分の獲物を手放す奴がいるか」
「な!しかし規約には…」
(それは形だけの規約・規則だ。まあお堅い元国軍の軍人には到底理解できまいが)
講師の男が手を上げる・
「…ギルド特別権限発動。戦闘を許可する」
その言葉と同時に冒険者達が弾けるように飛び出した。

「イェイ!国軍相手のライブだぜぇ~」
アイヴァは既に内臓アンプのスイッチを入れ戦闘準備OKだ。
「現金なやつ、でも嫌いじゃないのだ~」
「お!ノリがいいねぇ。今度飲もうぜ~」
いつの間にか意気投合したモーニングスターを振り回している女と背中合わせで共闘していた。
「な、なんだこいつら…あ」
「ひぁ!に、逃げ…うあん!」
二人規則正しく包囲したはずの軍服の女達は瞬く間にもの言わぬ屍と化していく。

「お馬鹿。目立ちすぎ」
「…お互いパートナーには苦労してそうだね」
死神とセルマーは講堂の隅でお互いの相方の戦闘を見ながら歓談していた。
「いやああああっ!覚悟ぉ!…っ…あれ?」
剣を構え突進してくる兵士を振り向きもせず両断する。

「あらら、囲まれてしましました」
アイヴァと共に飛び出した美麗だが数に優位なクーデター軍にすぐさま囲まれてしまう。
「これはぴんちなのでわ」
「心配無用、ギルドを守ろうと勇敢に飛び出したその勇気感服に値する」
「え?」
「な、何だ貴様、きゃあっ?」
美麗の前に文字通り血路が開かれその先には着流しに身を包んだ剣士がいた。
「あああ、あれはもしかして、いやもしかしなくでも剣士様!?」
美麗は思わぬ再開に心を奮わせた。

数で圧倒的に勝るクーデター軍であったが個々の実力者は如何ともし難く、その後逮捕された指揮官を除き全滅してしまった。
この事件は表向きには国軍の突入により解決とされギルドのメンバーが関与した事は公にはされなかった。

「なはは~アイヴァいい奴だな~気に入ったぞ」
「先輩こそ~」
朝星とアイヴァは意気投合し酒場で飲み明かしていた。
朝星の方がアイヴァより年上らしく先輩,先輩と慕っているようだった。
「…いつまで飲むつもりだあいつら」
「まあまあ」
「…?」
「どうしました死神さん」
「これ」
それはギルドからの依頼メールだった。そのタイトルにはこう書いてある。
「リヴァイアサン独立艦隊残党の排除依頼」

ばとおん!

こんにちは、皆さん。ご無沙汰しております、美麗です。
今回はギルドの傭兵さんのお仕事のお手伝いをしています。
といっても直接戦闘に参加するわけではなくサポート役としてです。
アイドル業も一段落して家でのんびりしていたらお姉ちゃんから「少しは身体を動かしなさい」といわれて今ここにいます。
目的は女性ばかりの犯罪集団メイド団の壊滅です。構成員全員がメイド服を着ている変な集団です。
以前は窃盗や恐喝といったその手の部類としては比較的軽い犯罪ばかりでしたが最近になって強盗や殺人も犯すようになって手が付けられなくなっているのです。

「どう?相手に動きはない?」
「あ、はい。私達の接近には気付いていないようです」
「早く突入しようぜ~仕事なんてすぐ終わらせて酒場で一杯やりたいよ」
今回のお仕事をメインで実行されるお二人、アイヴァニーズさんとセルマーさん。
アイヴァさんは快活でちょっと強引な人です。セルマーさんはいつも冷静でそんなアイヴァさんの手綱を良く握ってます。
何かあの二人にそっくりかも。私は無意識に笑みがこぼれていました。

目標の本拠地は目の前、零時丁度に突入です。
「本当にお二人だけで大丈夫ですか?」
「ハハッ!心配無用さ。私にはコレがあるからね!」
「美麗さんはここで見張りや状況報告をお願いします」
そういって二人が取り出したものを見て私は驚きを隠せませんでした。
だってそれは…

「零時だ突入するぞ!」
「三十分で終わらせる…」
二人は敵の本拠地である洋館に駆け出していきました。

「なんだ!貴様らは!」
「殺されたいのか?止まれ!」
見張りのメイド兵二人が銃を構え叫んでいる。
「敵に止まれといわれて」
「止まる奴がいるかよ!!」
二人は武器を構える。
「!?」
「な…なんだと!?」

「楽…器?」
二人が取り出したのは楽器でした。バンド演奏とかに使うような。
アイヴァさんはエレキギター。セルマーさんはサックスです。
「癖はあるけどね。私達の最高の相棒さ」
「まあ、見てなさい…そろそろ時間だな」
そういってお二人は洋館に視線を移し集中力を高めていきました。

「な!…ぶえっ!!」
「えっ!きゃああっ」
二人の眼前に居たメイド兵は一瞬で物言わぬ存在へと成り果てました。
一人は何かに押しつぶされたようにして、もう一人は鋭利な刃物で切り刻まれたかのように。
「何事だ…ひぁっ!」
「総員!戦闘準…うはぁっ?」
洋館から悲鳴を聞きつけ武装して出てくるメイド達。
しかし武器を構える事もできぬまま絶命していきます。

私にはうっすらと見えていました。二人の楽器から発せられるものの正体が。
「音…?」
セルマーさんのサックスからは大きな塊。規則的で直線的だけど凄く大きい。
アイヴァさんのギターからは小さな三日月状の不規則な波動。それはまるで蛇のようにうねり、相手に向かっていきます。

「いゃっほーぉ!開演だぜぇ!」
アイヴィーさんのギタープレイが勢いを増していきます。
バッキングからソロに移行すると発せられる波動は数、鋭さを増していきます。
そこはもはや戦場ではなくライブハウスでした。

「なんて…なんて楽しそうに演奏するだろう」

三十分と経たない内にメイド団は壊滅していました。
私はというと仕事も忘れ、二人の演奏に聴き入ってしまっていたのでした。

任務達成の報告の後、私たち三人は酒場でささやかな打ち上げをしていました。
「美麗ってあのメイド天然歌手のBe-Rayだったのか」
「はい、隠しているつもりではなかったんですけど」
「おし!美麗ボーカルにしてバンド組もうぜ!バンド!!」
「アイヴァの歌は聴けたものじゃないからな」
「あはは…」
「うるせぇ!それよりバンド名だよバンド名!「仕事後酒時間」ってのはどうだ?」
『それはない』
「えーなんでだよー」
こうして私はこの二人とお仕事をすることになりました。
これからは以前にもましてますます騒がしい日々になりそうです。
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